事業内容

当社は製薬企業や食品会社から受託したコホート研究で得られる利益を創薬研究開発に投下するというユニークなビジネスモデルを構築しています。また、コホート研究と基礎研究を融合することにより、効率的に創薬研究開発を進める戦略を採用しています。さらに、創薬研究開発を効率的に進める手段の1つとして、優れた研究を行っておられる先生方との緊密なネットワークを構築しております。当社の創薬研究開発では、初期開発のうちコストが比較的少ない非臨床試験までを自社開発する方針です。

当社の事業は、コホート研究事業と創薬研究開発事業の2本柱です。コホート研究事業では、製薬企業や食品会社から受注したコホート研究および基盤研究所より受注したAIホスピタル事業に焦点を当てています。創薬研究開発事業においては、糖尿病性腎症の診断、予防、治療薬の研究開発および免疫分野の予防薬、治療薬の開発に焦点を当てています。

糖尿病性腎症の診断、予防、治療薬の開発

糖尿病性腎症の診断、予防、治療薬の開発

糖尿病性腎症診断キットについて

1)
尿中Smad1は糖尿病性腎症の特徴の中の「メサンギウム基質の増生」を反映するバイオマーカーであることが判明しました。(特許取得済み)
2)
尿中IgG4は糖尿病性腎症の特徴の中の「糸球体基底膜の肥厚」を反映するバイオマーカーであることが判明しました。
3)
糖尿病患者を対象として、両バイオマーカーの測定値と腎機能低下の関係を5年間追跡調査した結果、両バイオマーカーが陽性の患者は、早期に腎機能が低下することが判明しました(特許出願済み)。この結果の論文は、2018年2月に、Diabetesに掲載されました。
4)
この論文に基づき、当社は、尿中IgG4測定キット(HBG0201)および尿中Smad1測定キット(HBG0216)を研究用試薬として開発、販売する予定です。製造は、当社と親密な関係を有する扶桑薬品工業株式会社が担当いたします。販売に関しては、現在、数社と交渉を進めています。そして両キットが揃った時点から、診断薬としての認可を得るための臨床試験を開始する予定です。

糖尿病性腎症予防薬・治療薬について

1)
当社は、糖尿病性腎症の発症の機序として、BMP4/Smad1/IV型コラーゲン経路の活性化が重要な役割を果たすことを見出しました。すなわち、高血糖によりAGEが増加し、そのAGEがメサンギウム細胞上の受容体に結合することにより、BMP4の産生が増加し、細胞外へ分泌されます。分泌されたBMP4がメサンギウム細胞上のALK3受容体に結合すると、Smad1のリン酸化が誘導され、Smad1/Smad1/Smad4の三量体が形成され、核内へ移行し、IV型コラーゲンの産生を増強します。このIV型コラーゲンの産生増加により、メサンギウム基質の増生や糸球体基底膜の肥厚が起こります。
2)
当社は、このBMP4/Smad1/IV型コラーゲン経路の活性化を抑制する物質を、糖尿病性腎症の予防剤・治療剤として開発しています。
3)
治療用抗体としては、BMP4中和抗体(HBG1925-128)を開発中で、糖尿病モデルマウスを用いた実験において、抗BMP4抗体はメサンギウム基質の増生や糸球体基底膜の肥厚を抑制することを見出しました。(特許取得済み)
4)
低分子治療薬としては、数種類の基本骨格が、in vitroにおいて、メサンギウム細胞のBMP4, Smad1, IV型コラーゲンのmRNAの発現を抑制することができることを見出しております。現在、リード候補化合物の絞り込みを行っています。この中から、BMP4阻害剤(HBG0303)を選択し、開発する予定です。また、ある低分子医薬品が同様の作用を有することも発見しています(特許出願済み)。

免疫分野(アレルギー、がん)の予防、治療薬の開発

アレルギー疾患の根本的な予防法の概要

アレルギー疾患の根本的な予防法、治療法を開発するためには、アレルギー症状が発症する作用機序を理解する必要があります。以下に、アレルギー症状が発症する作用機序の概略図を示します。アレルギー疾患の予防、治療薬の標的として、IL-5の産生抑制、IL-4, IL-13の産生抑制、IgE抗体の産生抑制、IgEの肥満細胞への結合抑制などが考えられますが、我々は、IgE抗体の産生抑制に着目しました。

アレルギー症状発見の作用機序

アレルギー症状発見の作用機序

我々の根本的なアレルギー疾患予防法のコンセプトは、以下に示すように、故石坂公成先生のアイデアを基に、国立成育医療センター・斎藤博久先生との議論の中でまとめられました。

我々のアレルギー疾患予防法発見の経緯

lgE抗体の発見者である故・石坂公成博士
lgE抗体の発見者である
故・石坂公成博士

斎藤博久氏
斎藤 博久 氏

故、石坂公成博士は、1966年にIgEを発見されました。
現在、世界的にアレルギー疾患が急激に増加し、大きな社会問題となっていますが、IgEの発見者である石坂博士はこの問題を解決するために、そもそもIgEの生理的役割は寄生虫防御であるが、先進国においてはその役割は必要ないのではないか、現在そのIgEが逆にアレルギー疾患の発症・憎悪の原因となってしまっているので、人体からIgEを無くせば、アレルギー疾患の撲滅につながるのではないかと考えました。
そして、そのための発症予防は乳児早期までに行う必要があることがわかってきました。石坂博士はmIgE陽性B細胞を標的とする抗IgE抗体を新生児や乳児に投与すれば、IgEの産生を完全に阻止することができ、その結果、将来的には人類のアレルギー疾患の激減につながるという戦略を完成させます。
2016年8月、この戦略について国立成育医療センター研究所・斎藤博士と相談し、妊婦へ投与するほうがこの戦略の実現の可能性が高いという結論に至り、この構想の妥当性を確かめるための妊婦マウスへの抗IgE抗体を投与する前臨床試験が始まりました。

このコンセプトの妥当性を検討するために、以下に示すように、妊娠マウスに抗IgE抗体を投与し、生まれてきた仔マウスを卵白抗原で感作し、仔マウスの抗原特異的なIgE抗体産生に対する影響を検討したところ、抗IgE抗体を母親に投与することにより、子供の抗原特異的なIgE抗体の産生を選択的に阻止できることが明らかになりました(特許出願済み)。

前臨床試験の方法と結果

前臨床試験の方法と結果

我々の発明のコンセプトは、以下に示すように、既存の抗IgE抗体を用いて、アレルギーの一次予防を行うことです。

我々の発明のコンセプト

我々の発明のコンセプト

AIホスピタル事業

コホート研究事業としては基盤研究所より受注したAIホスピタル事業では、医療計画でのがん・脳卒中・心筋梗塞・糖尿病・精神疾患の事業を対象にして小児・救急・在宅医療まで使えるAI用語集の作成を進めています。また、病態、症状、数値などをできるかぎり集めて病名を定義できる構造を目指しています。用語集の規模としては約36万の病名、約37万近い症状名をベースにしながら医薬品や患者表現、部位までを関連付けたAIシステムにしたいと考えています。