当社は「製薬企業や食品会社から受託したコホート研究で得られる利益を創薬研究開発に投下する」というユニークなビジネスモデルを構築しています。また、コホート研究と基礎研究を融合することにより、効率的に創薬研究開発を進める戦略を採用しています。さらに、創薬研究開発を効率的に進める手段の1つとして、優れた研究を行っておられる先生方との緊密なネットワークを構築しております。当社の創薬研究開発では、初期開発のうちコストが比較的少ない非臨床試験までを自社開発する方針です。
特に、糖尿病性腎症の診断・予防・治療薬の研究開発、並びに免疫分野の予防薬・治療薬の開発に焦点を当てています。
山形県及び佐賀県での15年間のコホート研究と徳島大学腎臓内科・土井俊夫教授の研究グループとの共同研究(基礎研究)により、糖尿病性腎症の特徴である「メサンギウム基質の増生」と「糸球体基底膜の肥厚」を反映するバイオマーカーをそれぞれ見出し、既に特許を取得しました。
その後の糖尿病患者を対象とした5年間の追跡調査で、上記の両バイオマーカーが腎機能低下を早期に予測することを確認し(特許出願済み)、この結果の論文が2018年2月にDiabetesに掲載されました。現在、両マーカーを測定する診断キットの開発を進めています。
私たちは糖尿病性腎症の発症のメカニズムとして、BMP4/Smad1/IV型コラーゲン経路の活性化が重要な役割を果たすことを見出しました。このBMP4/Smad1/IV型コラーゲン経路の活性化を抑制する物質を、糖尿病性腎症の予防剤・治療剤として開発しています。
治療用抗体として、BMP4中和抗体(HBG1925-128)を開発中です。糖尿病モデルマウスを用いた実験の結果、BMP中和抗体はメサンギウム基質の増生や糸球体基底膜の肥厚を抑制することも見出しています(特許取得済み)。
また、低分子治療薬としての数種類の基本骨格がin vitroにおいてメサンギウム細胞のBMP4/Smad1/IV型コラーゲンのmRNAの発現を抑制できることを見出しており、現在、リード候補化合物の絞り込みを行っています。この中から、BMP4阻害剤(HBG0303)を選択して開発する予定です。また、ある低分子医薬品が同様の作用を有することも見出しています(米国特許取得済み)。
我々の根本的なアレルギー疾患予防法のコンセプトは、以下に示した故・石坂公成先生のアイデアを基に、国立成育医療センター・斎藤博久先生との議論の中でまとめられました。
現在、世界的にアレルギー疾患急増が社会問題となっており、根本的な解決策が求められています。我々のアレルギー疾患対策のコンセプトは故石坂公成博士のアイデアを基に、国立成育医療センター・斎藤博久博士との議論の中でまとめられました。
アレルギー反応の原因分子であるIgE (immunoglobulin E、免疫グロブリンE)は、1966年に故石坂公成博士によって発見されました。IgEの生理的役割は寄生虫防御であるものの、現代社会ではかつてほどその役割は重要でなく、そのIgEがアレルギー疾患の発症・増悪の原因となっています。(石坂公成博士は「人体からIgEを無くすことができれば、アレルギー疾患の撲滅につながるのではないか」と着想されました。)
石坂公成博士と私たちはアレルギー疾患撲滅のため、乳児早期までにIgEを無くす必要があると考えました。膜結合性IgE (mIgE) 陽性B細胞を標的とする抗IgE抗体を新生児や乳児に投与すればIgEの産生を完全に阻止することができ、将来的には人類のアレルギー疾患の激減につながるという解決策を発案しました。
2016年8月、国立成育医療センター研究所の斎藤博久博士と石坂公成博士との議論の結果、抗IgE抗体を妊婦へ投与する方が高い実現性を示すのではないかと考えました。科学的妥当性を確かめるために妊娠マウスへの抗IgE抗体を投与する前臨床試験を行った結果、抗IgE抗体を投与された妊婦マウスから産まれた仔マウスの抗原特異的なIgE抗体の産生を選択的かつ完全に阻止できることが明らかになりました(特許出願済み)。この結果は、2019年3月にJournal of Allergy and Clinical Immunologyに掲載されました。
この子供のアレルギー発症を抑制する方法の実用化を目指し、現在臨床試験の準備を進めています。
1925年12月3日
ラホイヤアレルギー免疫研究所名誉所長
山形大学特別招聘教授
山形大学医学部客員教授
山形大学医学メディカルサイエンス推進研究所名誉所長(免疫学)
1954年6月 | 医学博士(東京大学) |
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1948年 | 東京大学医学部卒業 |
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1954~62年 | 国立予防衛生研究所免疫血清室長 |
1957~59年 | カリフォルニア工科大学化学部研究員 |
1963~70年 | 小児喘息研究所(デンバー)免疫部長 |
1970~81年 | ジョンス・ホプキンス大学医学部教授 |
1974~79年 | 京都大学医学部教授兼任 |
1981~89年 | ジョンス・ホプキンス大学免疫学部長 |
1989~96年 | ラホイヤアレルギー免疫研究所所長 カリフォルニア大学内科教授 |
1996年~ | ラホイヤアレルギー免疫研究所名誉所長 |
2004年~ | 山形大学医学部客員教授 |
2006~09年 | 山形県教育委員会委員長 |
2012年~ | 山形大学特別招聘教授 |
2013年~ | 山形大学医学部メディカルサイエンス推進研究所名誉教授 |
1972年 | パサノ賞(石坂照子夫人と共同受賞) |
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1973年 | ガードナー国際賞(石坂照子夫人と共同受賞) |
1974年 | 日本学士院恩賜賞、文化勲章 |
1979年 | ボーデン賞(アメリカ医学界賞) |
1983年 | 米国科学アカデミー会員 |
1985年 | 米国免疫学会会長 |
1997年 | 日本学士院会員 |
1999年 | 勲一等瑞宝章 |
2000年 | 日本国際賞 |